§2. Cokpit Manual
§2-9. UP FRONT CONTROLS
アップ・フロント・コントロールパネルは、ICPとして知られる統合型操作パネルとデータ入力表示装置(DED)を主として構成されています。ICP(Integrated Control Panel:統合型操作パネル)は、通信およびナビゲーション機能を制御するための装置です。ICPはDED(Data Entry Display:データ入力表示装置)と呼ばれる5行フォーマットのデータ・ディスプレイと一緒に使用します。DEDは正面コンソールの右上に配置されているディスプレイ・パネルです。HUD上にDEDの情報を表示するには、コクピットの右側補助コンソールにあるHUDコントロール・パネルのDEDデータ・スイッチを「DED DATA」の位置に切り替えてください。
それでは、各機器の説明を行っていきます。
1) ICP Panel ‐統合型操作パネル‐ 『BMS-Dash1.pdf』 Page:59
ICPパネルには、重要な機能に直接アクセスするためのボタンが配置されています。パネルの上段には6つの丸い押しボタン(赤枠)、中央には正方形の押しボタン(緑枠)、下段には3つの操作スイッチ(黄枠)、そして両サイドには4つのホイールが配置されています。これらのボタンは、マスターモード・ボタン(赤枠内の一部)、オーバーライド・ボタン(赤枠内の一部)、プライオリティ・ボタン(緑枠内)の3つに分類することができます。
■マスターモード・ボタン
F-16のアビオニクスシステムには、下記の7つのマスターモードがあります。マスターモードの概要については、§3-1をご覧下さい。
- (1) Navigation Master Mode
- (2) Air to Air Master Mode
- (3) Air to Ground Master Mode
- (4) MRM Override Mode
- (5) DOGFIGHT Override Mode
- (6) SELECTIVE JETTISON
- (7) EMERGENCY JETTISON
Master Modes
ICPパネルには、これらのマスターモードのうち、「A-A」及び「A-G」の2つのマスターモード・ボタンが用意されています。これらのボタンを押すと、FCC(火器管制コンピュータ)が空対空攻撃マスターモードまたは空対地攻撃マスターモードに切り替わり、MFD(多機能表示装置)及びHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)に、それぞれのモードに応じたプロファイルおよびディスプレイを提供します。もう一度同じマスターモード・ボタンを押すと、デフォルトのマスターモードであるナビゲーションモードに切り替わります。なお、マスター・モード・ボタンを押してもDEDに変更はありません。
■オーバーライドモード・ボタン
オーバーライドモードは、下記の5つのモードがあります。このうちBMS4.32に実装されているのは4つで、ICPパネルのボタンで選択できるのは「COM1」、「COM2」、「LIST」の3つです。
- (1) COM1
- (2) COM2
- (3) IFF
- 実装されていません。
- (4) LIST
- (5) F-ACK
Override Modes
オーバーライドモード・ボタンは対応する機能にダイレクトアクセスします。再度オーバーライドモード・ボタンを押すことによりオーバーライドされた元のページに戻ることができます。5つのオーバーライド・モードに加えて、DEDをデフォルトの表示に戻す特別なオーバーライド・モードがあります。これはDEDをCNI(Communication, Navigation and Identification)ページに戻すものであり、DCS(データ・コマンド・スイッチ)を左(RTN位置)にクリックすることによって切り替わります。
■プライオリティ・ボタン
プライオリティ(セカンダリ)・ボタンは、1から9までのナンバリングされたボタンにそれぞれT-ILS、A-LOW、STPT、CRUS、TIME、MARK、FIX及びA-CALとラベルの付いた正方形のボタンです。このうち8番と9番の2つのボタンのラベル機能は、BMS4.32では実装されていません。
- (1) T-ILS
- TACANとILSの設定
- (2) A-Low
- 低高度警報装置の設定
- (4) STPT
- ステアポイントの緯度、経度、高さなどの設定
- (5) CRUS
- (6) TIME
- 時刻の設定
- (7) MARK
- (8) FIX
- 実装されていません。
- (9) A-CAL
- 実装されていません。
Priority / Secondry Buttons
これらのボタンにはそれぞれ2重の機能があります。その一つはDEDに数値データを入力するためのテンキーとして使用されます。もう一つの機能は、それらのラベル応じてDEDにサブページを表示させる機能です。数値入力はDED上に表示されている2つの星印間のエリアに入力することができます。入力エリアを移動させたい場合は、ICPパネル下段左側にある矢印の書かれたトグルボタンを用いて、入力エリアを上下に移動させることができます。なお、0番のボタンはテンキーとしてのみ機能します。
■その他のボタン
ここまで紹介したスイッチ類の他にも大切なスイッチはまだあります。それは、DCSスクラッチパッド、ENTキー及びRCLキーです。DCSは、ICPパネル下段の中央に位置する4方向のモーメンタリースイッチです。LEFT位置はRTNと呼ばれ、現在のDEDページから出口を許可します、あるいはCNI DEDページに返ります。ラベルは上向き矢印でトップの位置に付けられます。また、その位置は、上方へ移動する編集可能な機能(メモ用紙)へのDEDカーソルを循環させます。ラベルは下向き矢印で底位置に付けられます。また、その位置は、下方への編集可能な機能へのDEDカーソルを循環させます。正しい位置はSEQと呼ばれ、余分なsubpageあるいは現在のプライオリティ機能のオプションを入力するために使用されます。ENTキー及びRCLキーはプライオリティ機能を持っておらず、単に入力されたデータを確認するか取り消す役目をします。メモ用紙にデータを入力した後に、変更されたデータを提出するためにENTRボタンを押し下げなければなりません。データが有効で、次に次の編集可能なエリアに移る場合、システムチェック。データが無効ならば、入力されたデータは閃くでしょう。また、パイロットはエラーを修正しなければならないでしょう。RCL(リコール)は最後のデータ・エントリーを取り除くでしょう。もし2度連続して押されれば、全メモ用紙が取り除かれるでしょう。